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iDeCo – 個人型確定拠出年金。
公的年金にプラスして、20歳-65歳が任意加入できる年金制度です。
国が推進するだけあってこのiDeCo、様々な優遇措置があります。
そのためよく言われるのが
iDeCoは税金面で得するから
iDeCoをやらないなんてもったいない
といったSNSやWebでの評判はよく目にします。
確かに優遇措置はあるのでしょうが、デメリットはないのでしょうか?
そのデメリットを考えても、iDeCoをやるべきなのでしょうか?
といった疑問を持つ、慎重派な人もいるでしょう。
先に結論を言えばこのiDeCo、
すべての人がやる必要はないです
デメリットの方が大きい人、少なくないです
何も考えずiDeCoを始めてしまうと、後悔する人がいます
いったいなぜ?
本記事ではそんなiDeCoの
- メリット・デメリットすべて
- 致命的なデメリット
- iDeCoを始める前に見極めるべきポイント
について徹底解説します。
iDeCoをやるかどうか迷うなら、まずこの記事を読んでから。
投じたお金は60歳まで引き出せませんので、あとから後悔しなくて済みますよ。
idecoのいったい何が得なのか
idecoは3つの「得」が存在します。
確認すれば、それが決して小さいものないことがわかるはず。
idecoの得① 払う税金が減らせる!
iDecoの掛金は「所得控除」の対象に。
掛金とあなたの所得レベルに応じて、支払う税金が減ります。
idecoの掛け金を毎月23,000円としたとき、税金の軽減額は下記のようになります。
額面年収 | 住民税・所得税の 節税額目安(年間) | 30年iDeCo運用時の 合計節税金額 |
400万円 | 41,400円 | 124.2万円 |
500万円 | 55,200円 | 165.6万円 |
600万円 | 55,200円 | 165.6万円 |
700万円 | 82,800円 | 248.4万円 |
800万円 | 82,800円 | 248.4万円 |
900万円 | 82,800円 | 248.4万円 |
1000万円 | 82,800円 | 248.4万円 |
1100万円 | 83,913円 | 251.7万円 |
1200万円 | 91,080円 | 273.2万円 |
扶養なし、掛け金23,000円/月
iDecoの掛金はあなたの手元からいったん離れます。
しかし、その掛け金の一部は税金の軽減という形で、一部戻ってくるということ。
年間4~9万円支払う税金が減り、30年続ければ100万~270万円にもなります。
これがiDeCo「やらないと損」と言われる点の1つ。
掛け金上限(月) | 最大年間掛け金 | |
自営業者・無職 | 68,000円 | 816,000円 |
公務員 | 12,000円 | 144,000円 |
企業年金制度無の会社員 | 23,000円 | 276,000円 |
専業主婦 | 23,000円 | 276,000円 |
idecoの得② 運用利益への課税なし!
普通の投資(株・投資信託)では、投資で儲けた分に税金が課されます。その額なんと
利益の20%
です。購入額-売却額で+100万円利益がでたら、あなたが受け取れるのは80万円。
20万円は税金として持っていかれます。
これが普通の投資ですが、idecoはこの利益に対する課税がゼロ。
つまり100万円儲けたら、100万円そのまま受け取れるということ。
本来20万円税金だったはずなのですから、そのお得さはかなりのものです。
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idecoの得③ 受け取り時も税控除あり!
日本にいる限り、お金・収入を得る際には税金がかかります。
idecoも同じく、60歳以降の受け取り時は「所得」としてカウントされ課税されるのです。
しかし、idecoは受け取り時の控除が受けられ、結果的に課税額を低くすることができます。
一括まとめて受け取る
⇒ 退職所得控除
分割で年金として受け取る
⇒ 公的年金控除
収入によって控除額変わるため、人によって受けられる恩恵は異なります。
一概に言えませんが、節税効果があるのは確か。
idecoの得④ idecoに投じた資金が保全される
idecoの隠れたメリット、それは
idecoのお金は他者に差し押さえられない
という点です。
離婚時における財産分与でのiDeCo
特に既婚者が離婚するケース。
婚姻期間中に蓄えた資産は夫婦共同のもの。
そのため離婚する際に財産分与、つまり資産の分割が発生するわけです。
なんとiDeCoは財産分与の対象外。
あなた名義のiDeCoのお金が分割されて、パートナーに支払われる可能性は低い※です。
※iDeCoに対する財産分与の考え方について
iDeCoが比較新しい制度のため、実は財産分与に対する考え方が確立していません。
裁判等で判例が十分になく、グレーゾーンが多いのです。
そのためここでは「可能性が低い」と表現しています。
今後判例数の増加に伴い、離婚時のiDeCoがどうなるかもはっきりしていくでしょう。
自己破産時のiDeCo
あまり遭遇したくはないケースですが、ここにもiDeCoのメリットが。
自己破産時、iDeCoは差し押さえされません。
iDeCoの資産はそのままあなたの手元に残ります。
これは確定拠出年金法という法律によって決まっており、法で保護されているのです。
隠れた、しかし確かなiDeCoのメリットですが、その恩恵に預かりたくはないですね。
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idecoのデメリット
iDeCoのここが×① 60歳まで引き出せない
iDeCoは年金です。
年金=老後のためのお金を用意しておきましょう
という国の制度のため、iDeCoはいつでもお金を引き出せるような仕組みになっていません。
iDeCoのお金を自由に使えるのは原則「60歳」になってからです。
毎月2万円iDeCoに投資するということは、毎月使えるお金が2万円減るということ。
このような資金拘束がiDeCoのデメリットです。
iDeCoのここが×② 手数料がかかる
iDeCoをやるなら、一定の手数料が発生します。
運用費用の安い金融機関を選べば、月171円=年2,052円でiDeCoが運用できます。
大きな金額ではないですが、デメリットと言えばデメリット。
iDeCoのここが×③ 元本保証型でなければ損するリスク
iDeCoでは様々な金融商品が選べます。
さまざまな分類の仕方が考えられますが、最もシンプルなのは
多くの人は②投資信託をからめて運用するでしょう。
そのため損するリスクは確実に存在します。
とはいえiDeCoは60歳まで、30歳代から始めても数十年の運用期間があります。
途中に大暴落が起きたとしても、最終に受け取る時は利益が出ている可能性が高いです。
超長期運用 × 投資信託
はリスクをおさえつつ、まとまったリターンが期待できる資産運用方法であるのは間違いありません。
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よーく考えるべきidecoのデメリット
iDeCoのメリット。
税控除が受けられて有利に運用できる
長期間投資で不意の暴落にも耐性もある
総じてまとまったリターンが期待できる
これが一般に言われる「iDeCoをやるべき理由」。
一方のデメリットも確認しました。
デメリットがメリットを上回るのか。
この結論があれば、あなたも迷うことなくiDeCoを始めることができるでしょう。
そこで
iDeCoのメリットはデメリットを上回るものなのか?
という点を考えましょう。
特に着目すべきデメリットは
60歳まで引き出せない
です。
人によっては、このデメリットが見過ごせないものなのです。
60歳まで引き出せないと何が起こる?
60歳まで、ひたすらお金を投資する。
増えたかもしれないiDeCoを引き出し
自由に使えるのは60歳になってから
どんな可能性が考えられるでしょうか。
誰にでも起こりうる仮定の話
ここで仮定のお話をします。
60歳になる前にあなたの寿命がきたら?
あなたは投資に費やしたお金を使うことなく、この世を去ることになります。
60歳でiDeCoを全額受け取ったけれど、5年後の65歳であなたの寿命がきてしまったら?
まとまったお金を手にしたけれど、使えたのはたった5年分。
60歳でiDeCoを受け取ったけれど、60歳頃には病気がちで体調を崩しやすく、活発に活動できなかったら?
お金はあるけれど使い道がない。若いうちに使った方がよかったと後悔。
こんな可能性がすべての人にあり得るんです。
これこそiDeCoをやる上で考えたい点。
60歳でまとまったお金が受け取れるが、そのお金を有意義に使えるか?後悔しないか?
これを個人個人が見極めねばなりません。
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ideco始める前に考えたい「問い」
見極めるため、ここに「問い」を用意しました。
この問いについて考えれば、あなたなりの結論が導きだせるはずです。
あなたはiDeCoを使い切れるのか?
独身男性には残酷なのですが、データでハッキリしていること。
独身男性の平均寿命は67-68歳
です。
これは国による統計で明らかな「事実」。
男性数人に1人は60代で亡くなるということ。
厚生労働省の人口動態調査(2020)によれば、
- 未婚男性の死亡ピーク年齢(中央値)が含まれる年齢階級は65-69歳
- 計算すると中央値は67.2歳
- 配偶者あり男性の中央値は81.6歳
その差14歳と明らかに差があります。
寿命から考えるiDeCo
これを考えると、iDeCoはどうでしょうか。
まとまったお金を手にしても、使える期間は10年満たないかもしれません。
iDeCoで増えたお金
十分に使い切ることなく
お金を残したままこの世を去る
そうなる可能性があっても、iDeCoをやりますか?
あなたは誰にidecoを残したい?
万一、iDeCo受け取り前に亡くなるとしたら。
iDeCoはあなたの家族や配偶者に相続されます。
あなたのiDeCo、誰に相続してもらいたいですか?
配偶者や子供のためのiDeCO
あなたがiDeCoを残したいと思う人が
- 配偶者
- 子供
- 血を分けた兄弟
の場合。
iDeCoがムダになることはありません。
iDeCoの資産は相続され、残された家族が有意義に使ってくれるはず。
あなたが使えないとしても、iDeCoをやる価値があると言えるでしょう。
18歳-34歳の未婚の男女(7826人)のうち「一生結婚するつもりはない」と答えた人の割合
- 男性で17.3%
- 女性で14.6%
男女共に過去最高。
生涯を共にするパートナーがいない、これも普通になりつつあります。
iDeCoに限らず、自らの死後における資産の行方は考えておくべき点なのです。
親へのiDeCo相続は非現実的である
万一あなたが早くに亡くなった時、
配偶者や子供はいない
しかし育ての両親がいる
自分がiDeCoを使えないとしても
両親に使ってもらえればそれでいい
とお考えでしょうか。
非常に理解できますし、すばらしい考え方です。
しかし残念ながら、現実的ではありません。
あなたが50歳前後のとき、ご両親はご存命でも80歳前後。
それほど多くの金額を必要としない年齢です。
ご両親がご存命かどうかも、未知数です。
いくら渡したくても、相手がいないのではどうしようもありません。
相続する人がいないとどうなる?
iDeCoの加入者が60歳前に亡くなったら、遺族がiDeCoの資産を相続することになります。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
でももし、上記相続できる人がいなかったら?
iDeCo相続の手続きが5年行われなかったら?
iDeCoの資産は国ものに
それでいいという方もいるでしょう。
個個人の考え方によります。
あなたが築き上げたiDeCoの資産、どう扱われたいのか?
後悔のないよう見定めるべきです。
誰のためのiDeCoか
ここで考えたいのはあなたに「万一」が早々に訪れたとき。
- 自分でiDeCoを使えないとしても後悔はありませんか?
- iDeCoの資産を渡したいと思う人達がいますか?
- その人達が存命である可能性は高いですか?
を考えること。
あなたはどのように考えますか?
- 自分で使えないのは納得がいかない
- 資産を渡したいと思う人がいない
- 資産を渡したい人がいなくなっているかもしれない
自分の中での価値を見極めましょう。
お得な面だけ見てiDeCoをやるべきじゃない。
60歳まで引き出せないiDeCo。
このデメリットがメリットを上回るか。
もしデメリットが勝つなら、iDeCoはあなた向きでない可能性があります。
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お金の価値は年齢で変わる
iDeCoを始めると、毎月お金が引き落とされることになります。
毎月25万円収入があるとき、iDeCoをやると使えるのは残り22.7万円。
年間だと23,000円×12ヵ月=276,000円
これがiDeCoに投じられることになります。
残ったお金で生活することはできるでしょう。
しかし「お金を使わずiDeCoへ」は正しい選択なのでしょうか。
「iDeCoで老後に備える」姿勢はすばらしいが…
「若い内からiDeCoで老後に備える」
確かにすばらしい姿勢だと思います。
使えるお金が限られている中、iDeCoにも拠出するのは楽じゃない。
それでも老後に困らないよう、若い内からがんばる
その考え方は立派なものです。
その一方で考えるべきことがあります。
若いときにだけできる経験があること
若いときにだけ可能なお金の使い道があること
iDeCoをやることで、もし若いうちに使えるお金が減ってしまうのなら。
老後のためのiDeCoをムリにやる必要はないと、ここでは断言してしまいましょう。
20代-30代の27万円
毎年27万円。
- 1週間の海外旅行に
- 専門学校や、オンラインスクール等でスキルを身に付ける
- 車やバイクを買って旅するための資金に
- 高価な楽器や自転車へ
若い時にだけ、お金を使って買える経験・体験があります。
老後のiDeCoのために使えるお金が減る
その分体験や経験が減る
そう考えるとどうでしょうか。
貯金や資産が十分で、完全に余剰資金でiDeCoをやれるなら問題はありません。
しかしもし毎月の収支が±0で、貯金や資金も余裕がないのなら。
老後のため!と気張ってiDeCoをやるのは得策ではないと言えます。
資産運用したいなら、いつでも現金化できるNISAや、普通の投資をやればいいのです。
また年金もあるから、iDeCoが無くても老後への備えはゼロじゃない。
60歳以降まで引き出せないiDeCoは、余剰資金がなければ優先度は下の下。
そんな考え方も含めて、iDeCoをやるかどうか判断してみてはいかがでしょうか。
iDeCoは万人に対し「お得」ではない
税金面では確かに魅力的なiDeCo。
しかし見てきたようにデメリットも確実に存在します。
投じるのはあなたの貴重なお金。
一度お金を投じたら、60歳まで引き出せないiDeCo。
あとから後悔しないよう、iDeCoが自分向きなのかしっかり考えましょう。
- iDeCoへの支出で、若い頃の貴重な体験や経験を犠牲にする可能性はないか
- iDeCoを誰に相続してもらいたいか・相続してもらえるか
- iDeCoを途中で引き出したくなるような事態が想像されるか
iDeCoは全員にメリットだけが確約されているものではありません。
個個人が損得を見極めて、必要に応じ活用すべき制度です。
お金を投じる前に、じっくり考えてみましょう。
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