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先日、燃料調整費についてこんなツイートをしました。
想像以上に反響があったので、このページでまとめてみることにしました。
この燃料調整費上限の話、とにかく影響範囲がデカいです。
電気を使うすべての人に影響すると言っても過言じゃない。
- そもそも燃料調整費ってなに?
- 燃料調整費が変わって、それで電気代いくら上がるのさ?
- 逃げ道はあるの?
- 従量電灯B?いくら安い?
こんな疑問を持つ方のために、1記事でわかりやすくまとめました。
冬にかけて電気を使う量が増えます。
電気料金明細を見て、イヤに高い請求をみてびっくりしないためにも。
燃料調整費の影響と、今やれること。
この記事で確認してみてはいかがでしょうか。
燃料費調整とは何か
電気に欠かせない原油や石炭などの燃料。
燃料は輸入するわけで、実は為替の影響も。
この燃料価格と為替など、経済状況に敏感なのが電気料金なのです。
そこで登場するのが燃料費調整額。
この経済情勢の変動に合わせ、燃料費の変動を迅速に電気料金に反映させるのが燃料費調整額です。
燃料費調整額はこうやって反映される
事業者によって細かな違いはあれど、電気料金ほぼ下記計算式で決まります。
①基本料金
アンペア数の契約に応じてかかる基本料金。
②電力量料金
使用電力量に応じて決まる、電気代の中心部分です。
事業者によって細かな差があります。
図のENEOSでんき。
このように、使用した電力量の段階に応じて単価が変わる仕組みを採用している事業者が多いです。
例)400kWhを1か月に使用したとき
120kWh × 19.88円 + (300kWh – 120kWh) × 24.54円 + (400kWh-300kWh) × 26.22円
= 9,424円
③燃料費調整額
今回注目するのが燃料費調整額。
こちらも使用した電気量に応じて高くなる仕組み。
計算式はシンプル。
使用電力量 × 燃料調整費単価 です。
例)400kWhを1か月に使用、燃料調整費単価5.13円/kWhのとき
400kWh × 5.13円/kWh = 2,052円
この5.13円/kWhという単価が2022年冬の問題点。
④再生可能エネルギー発電促進賦課金
国の制度で徴収される費用。
太陽光や風力発電促進に使われます。
計算式はシンプル、年度に応じて費用が改定。
使用電力量 × 3.45円(2023年4月分料金まで)
例)400kWhを1か月に使用
400kWh × 3.45円/kWh = 1,380円
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燃料調整費上限を無くす事業者があとを絶たない
2022年冬、この燃料費調整額がヤバいです。
こんなお知らせが、様々な電気事業者から発信されています。
ENEOS株式会社(以下「弊社」といいます。)は、「ENEOSでんき」の燃料費調整における上限価格の設定を 2022 年 11 月 1 日から廃止いたします。
「ENEOSでんき」における燃料費調整額の変更について(2022 年 11 月 1 日実施)
「ENEOSでんき」では、毎月の燃料価格の変動を燃料費調整額として電気料金に反映しており、この燃料費調整額には、燃料価格の上昇によるお客さまへの影響を緩和するため、上限価格を設定しておりました。しかしながら、昨今の日本卸電力取引所の取引価格および燃料価格の高騰等の情勢を踏まえると、今後も電源調達コストの高騰が避けられない状況となることが見込まれます。
これまで、燃料費調整額の算定に用いる平均燃料価格に上限を設け、上限を超える調整は行わない仕組みとしておりましたが、昨今の燃料価格の高騰を踏まえ、多くの地域の電力会社や新電力と同様の対応として、2022年11月分の電気料金から上限価格の設定を廃止いたします。
au電気リリース
昨今のエネルギー価格の高騰をふまえ、多くの地域の電力会社や新電力と同様の対応として、2023年1月検針分(2022年12月検針日以降の電気料金)より電気料金の一部としてご請求しております燃料費調整額の算定に用いる燃料費調整単価の上限価格を廃止することで、今後の安定的な電力提供に努めてまいります。
ドコモでんきリリース
実は燃料調整費、これまで『上限価格』が設定されていました。
このリミッターが今後無くなりますよ、というお知らせなわけです。
なぜこんな変更をするのかというと、この燃料調整費が今暴騰しているから。
こちらは関東の燃料調整費の推移。
最新3か月に注目。
5.13円で止まっていますね。
これが燃料調整費の上限価格。
経済情勢の影響で、燃料調整費が高止まりし続けていて電気事業者が赤字状態ということ。
だから困った事業者が相次いで『上限価格撤廃』のリリースを出しているわけです。
燃料調整費のリミッターが無くなると?
今まではこの5.13円以上にならないよう上限価格がありました。
様々な電気事業者で、このリミッターが無くなる。
なくなったあと、どうなるのでしょうか。
ENEOSでんきは、次のような電気料金上がり幅を提示してくれています。
関東エリアの場合。
22年10月の燃料調整費は実のところ上限5.13円ではなく、8.07円だったということ。
本来の調整費8.07円で計算すると、300kWhを使った家庭では882円負担増。
中国エリアは強烈です。
3.19円上限のところ、本来の調整費は11.56円。
上限がなかったら、300kWhを使った家庭の10月電気代は+2,511円だったということです。
言葉どおり『上限なし』の恐怖
上限なし。
今後燃料調整費は無限に上がっていく可能性があるわけです。
さきほど東京は8.13円でした。
これが中国エリアと同じ11.56円になる可能性が普通にありえます。
12円、15円、20円になる可能性もゼロではない。
電気を使う量が増えるこの季節。
どうにかして電気代をおさえる術は?
かろうじてあります。
『燃料調整費上限』が維持されている電気事業者に切り替えることです。
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貴重な逃げ道『従量電灯B』
燃料調整費の上限がまだ『維持されている』事業者のプランが存在します。
その一つが『従量電灯B』。
各地域の電力供給会社(東京電力や北海道電力などの大元)が用意している、言ってしまえば旧プラン。
この従量電灯Bプランはまだ燃料調整費の上限がキープされているのです。
燃料費調整額に上限が設けられていることは、下記リリースで確認できます。
従量電灯Bなどの電力小売全面自由化前の電気料金プラン※6については、燃料費調整単価の算定に用いる平均燃料価格に上限を設けており、上限を超えるご負担はいただいておりません。なお、現在、自由料金プランにご契約いただいているお客さまが、従量電灯Bなどをお選びいただくことも可能ですが、今後の燃料価格の動向やお客さまの電気のご使用状況などによって、割安にならない場合もございますので、予めご承知おきください。
https://www.tepco.co.jp/ep/archive/20220830.html
いくらぐらい違う?
実際の差額を比較してみましょう。
- 60A(アンペア)契約で統一
- 関東エリア想定
- 比較事業者はENEOSでんきと東京電力従量電灯B
- 下記⑤パターンで比較
- ①ENEOS電気燃料調整費上限あり東京
- ② 〃 上限なし東京10月調整費相当(5.13円)
- ③ 〃 上限なし東北10月調整費相当(9.46円)
- ④ 〃 上限なし中国10月調整費相当(11.56円)
- ⑤東京電力 従量電灯B
使えば使うほど負担アップ
①が上限ありの価格、②が上限撤廃後の価格。
使用電力量が多くなるほど、値上がりしています。
上限撤廃後は800円~2,000円の負担増。
地味に痛いですね。
特に電力を多く使えば使うほど大ダメージ。
冬場、4人家族世帯の負担増はかなりのものです。
もし燃料調整費がこのまま上がり続けたら?
③の東北エリア並みだと1,300円~3,000円の負担増。
④の中国エリア並みになると、1,900円~4,500円と苛烈な上がり幅です。
これからの冬場、400kWh-500kWhぐらい普通に使う家庭も多いはず。
上限なしだと2,000円、3,000円上がる世帯も珍しくないと言えます。
旧プラン『従量電灯B』基本は高い
その中で注目したいのは⑤従量電灯B。
①の燃料調整費上限ありと比較すると、従量電灯Bは300円~2000円高い。
そうです、従量電灯Bは基本高いのです。
燃料調整費が上限以内(関東なら5.13円以下)なら、従量電灯Bは高い料金プランです。
増えない従量電灯Bの安心感
しかし燃料調整費上限なしのケースと比較すると、話は変わってきます。
もし③東北並み9.46円の調整費になっても、⑤従量電灯Bの価格は変わりません。
1,300円~3,000円の負担増のところ、300円~2000円のアップで済みます。
④中国並み11.56円になっても同じ。
1,900円~4,500円の負担増のところ、やはり300円~2000円のアップで済むわけです。
これが上限ありの安心感。
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もう一つの候補:東電アクアエナジー
高まる可能性のある燃料調整費。
そこから逃れるもう1つの候補があります。
それが東京電力アクアエナジー100プラン。
下の図のポイント5に注目!
なんと燃料調整費の概念が『ありません』。
しかし『基本料金・電力料金が高い』です。
契約 アンペア | ENEOSでんき 東京電力従量電灯B | 東京電力 アクアエナジー 100 | 差額 |
10A | 286円 | 561円 | +275 |
15A | 429円 | 841円 | +412 |
20A | 572円 | 1,122円 | +550 |
30A | 858円 | 1,683円 | +825 |
40A | 1,144円 | 2,244円 | +1,100 |
50A | 1,430円 | 2,805円 | +1,375 |
60A | 1,716円 | 3,366円 | +1,650 |
基本料金は約2倍高いアクアエナジー100。
しかし燃料調整費がゼロ。
燃料調整費が高まる昨今において、選択する価値がでてきています。
比べると?
さきほどと同一条件で比較しましょう。
- 60A(アンペア)契約で統一
- 関東エリア想定
- 比較事業者はENEOSでんきと東京電力従量電灯B
- 下記⑥パターンで比較
- ①ENEOS電気燃料調整費上限あり東京
- ② 〃 上限なし東京10月調整費相当(5.13円)
- ③ 〃 上限なし東北10月調整費相当(9.46円)
- ④ 〃 上限なし中国10月調整費相当(11.56円)
- ⑤東京電力 従量電灯B
- ⑥東京電力 アクアエナジー100
⑥のアクアエナジー100。
燃料調整費の上限がなくなった②と比較しても、本当に安いです。
②は最大2000円増ですが、⑥は最大500円増
しかも使う電力量が大きければ大きいほどお得。
700kWhを使ったとき、上限なし8.07円の②は+2058円。
一方⑥アクアエナジー100は700kWh使っても、わずか+145円のみ。
⑤の従量電灯Bでも700kWh使えば+2089円ですから、相当安い。
アクアエナジー100
電気を大量に使う人ほど
電気料金が他とくらべてお得に
暖房を電気で賄う人、電気自動車がある世帯なら恩恵大です。
【追記】アクアエナジー100受付停止!
ここまで見た方なら『アクアエナジー100一択!』という人もいそうです。
しかし状況が変わりました。
なんとアクアエナジー100、新規申し込みの受付が停止に。
今の状況ではあまりに安く、加入希望者が殺到したのかもしれませんね。
アクアエナジー100にさっさと加入した人は勝ち組ですね。
アクアエナジー100は燃料調整費の概念がない
しかし
政府の電気代補助の対象だそうです!
こうなるとアクアエナジー100がすごい。
そもそも最安レベルなのに、政府補助金でさらに安く。
新規受付停止が残念ですね。
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従量電灯B、アクアエナジー100なら電気代いくらなのか知りたい
自分の電気使用量で、従量電灯Bとアクアエナジー100ならいくらになるのか知りたい!
でも計算はめんどくさいよね、っていう人に自動計算機作りました。
あくまで目安、利用はこちらから。
最大3社まで、比較機能もつけました。
燃料調整費が高騰するとどこが安くなり、どこが高くなるか。
目安になりますので、あなたの使用電力でシミュレーションしてみては。
東京電力 従量電灯Bへの切り替え方
東京電力エリアの方へ、従量電灯Bへの切り替え方法をお知らせします。
こちら『切り替えは電話のみの対応』となっています。
窓口が少ないのか、混んでいるのかわかりませんが、私の場合は22分かかりました。
また『供給地点特定番号』という22ケタの数字が必要です。
今契約している電気事業者の請求書や、HPをチェックしてから電話しましょう。
【追記】東電従量電灯Bも6月から値上げへ
東京電力1月23日に平均29%の値上げを発表。
国に認可されれば、6月1日から適用です。
従量電灯Bですが、1kW/hあたり約10円値上げ。
300kW使う家庭なら約2,949円支払いが多くなりそう。
年間にすれば36,000円、大きいですね。
アクアエナジー100は値上げ言及なし
1月11日に受付停止したアクアエナジー100、こちら値上げの情報はまだありません。
6月以降は従量電灯Bも高くなるので、アクアエナジー100の安さが一層際立つ形に。
しかし値上げは時間の問題かもしれませんね。
なぜならアクアエナジー100は国から認可なく、値段変更できるから。
おそらく従量電灯Bと同じ6月頃に値上げされるのでは、と予想します。
この冬さえ乗り越えられれば
燃料調整費の上限がない従量電灯B。
燃料調整費が高まり続けることを予想するなら、今のうちに切り替えが正解かも。
もちろん、従量電灯Bは6月に値上げされます。
しかし今すぐ加入すれば、数か月は旧料金で電気が使えるのです。
電気代が高まる冬・初春
2月・3月だけでも安くすむなら
切り替えの手間をかける価値はある
使用量の多い世帯なら3000円~5000円は節約できそう。
今後の電気料金、要チェックです。
燃料調整費が安くなるのか、見通しは不透明。
できる対策をやっておきましょう。
この記事を読んだ人は、この冬少なくとも電気料金明細を見て、ビックリすることはないでしょう。
知らなそうな人にぜひ、本記事をシェアしてあげてください。
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